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2010年05月27日

スマートフォン・フィーバーの先にある危機

このブログは博多の某喫茶店で次の会議の合間に書いている。イーモバイル社のデータ通信モジュールを使い、すでに1時間以上インターネットに繋ぎっぱなしである。自宅のネット環境である光回線+WiFiルータに比べれば若干レスポンスは遅く感じるものの、通信が途絶えることもなく快適といってよいだろう。大きな喫茶店である。客はざっと見渡したところ50名程度はいるがPCで作業しているのは私一人。携帯を触っている人は、大方20名くらいであろうか。スマートフォンを使っている人は確認できず。この環境であれば、快適に通信が行えてさもあらん、といったところか。

スマートフォンの普及が進み、多くの人々が使い始めると、この快適な環境が懐かしく思えてくるに違いない。最新の統計データによると、日本におけるスマートフォンの普及台数はおよそ200万台。1億1200万台の携帯電話が普及している中で、まだわずか1.7%なのである。これが10%になると、我々が享受できるモバイル通信環境は一体どうなるであろうか?

iPhoneが発するデータ量は、通常の携帯電話の10倍であると言われる。画面の表示領域が大きく、CPU処理能力の高いiPadやその類似製品の普及が進むと、10倍どころではないだろう。

モバイルオペレータは、今とても大きなジレンマを抱えているはずだ。ユーザの嗜好が、旧来の携帯電話からスマートフォンへと変化する中、ユーザを獲得するためには、積極的にスマートフォンを売っていかざるを得ない。しかし、増殖するスマートフォンに対して、果たしてネットワークが耐えることができるかどうか。気が気ではないだろう。どれくらいのトラフィック拡大が起こるか、誰も予想できない。全てはアプリケーション次第。これまでになかったユーザインターフェースを提供する端末である。その上で動作する新種のアプリケーションは誰も予測できないのである。とてつもないネットワーク負荷をかける超ヒット作が出現する可能性は高い。

この状況を道路交通にたとえると、これまでは、皆バイクに乗って大人しく通行していたものが、多くの人が大型自動車で通行するようになるということである。オペレータはユーザへ出来る限り快適な通信環境を提供する必要がある。LTEによって道路の幅をちょっと広くしたところで、おそらく焼け石に水。残る手立ては、ひたすら基地局を打ちまくるしかない。基地局の増設は、道路上(無線回線)を走る移動体(データトラフィック)を道路から出来る限り早くオフロードできるようになることを意味する。こうすれば、無線の混雑を抑えることができる。

しかし、基地局の増設はオペレータにとってはコスト増となる。ユーザから徴収する通信料は年々下がる傾向にあり、オペレータが感じるコスト負担感は、加速度的に重く感じられるようになるだろう。

スマートフォンの普及促進は、ユーザにとっては喜ばしい限りであるが、オペレータにとっては、これまでのビジネスモデルが早晩立ち行かなくなる危険性をもはらんだ危険な賭けなのである。
  


Posted by furuhiro at 19:18Comments(1)