スポンサーサイト

上記の広告は2週間以上更新のないブログに表示されています。 新しい記事を書くことで広告が消せます。  

Posted by スポンサー広告 at

2010年02月01日

新モバイルエコシステムのススメ(2)~ Open4G始動!

モバイル通信のエコシステムには変革が必要であることを、以前このブログで主張した。ネットワークの価値は、その上で展開されるコンテンツが生み出す。接続できることが価値を生むのではない。このことは、通信サービスが唯一電話だった時代からそうであったが、ネットワークとサービスが混然一体となっていた時代にはほとんど意識されなかった。しかし、インターネット上で多種多様なコンテンツが展開され、ネットワーク提供主体とサービス提供主体とは生得的に分離されることが白日の下にさらけだされるようになった。コンテンツサイドからみると、高額なネットワーク接続料金が足かせとなり、コンテンツ市場の成長機会が損なわれていると捉えるべきだ。ユーザが感じる価値はコンテンツにある以上、ユーザがお金を払う対象は、ネットワーク提供者ではなくコンテンツプロバイダであって然りだ。このように考えていくと、これからの通信市場の主役は、ユーザと端末、そして、その上で展開される無数のサービスにあり、通信キャリアではない。ネットワークは単なる土管でよいではないか。

第4世代移動通信の議論が始まり、すでに10年もの歳月が過ぎた。その間、数多くの提案がなされてきたが、コンセンサス統一には未だ至らず、第2世代から第3世代への移行が迅速だったのに比べて対照的だ。事態を混とんとさせているのは、爆発的に普及が進んだインターネットの存在がある。第*世代と言う用語は、電話網の規格制定に始まる標準化を主導してきた巨大テレコム企業群の定義である。彼らのサークルの外で誕生したインターネットが、第1、第2、第3と順当に進化してきたモバイル通信システムの進化の方向性を狂わせているのである。

ネットワークを土管とみなしたところで、敷設・維持コストは必ず発生する。誰かが負担しなくてはならない。ユーザはコンテンツ視聴により直接の益を受けるのであるから、ユーザが支払う対価の行先はコンテンツプロバイダーであるべきだ。一方、コンテンツプロバイダーはネットワークが存在しなければ彼らのコンテンツを流布できないから、ネットワーク利用の最大の受益者である。よって、ネットワークの敷設・維持コストはサービスプロバイダーが負担すべきであろう。つまり、コンテンツプロバイダーはユーザからフィーを徴収し、一方でネットワークの敷設・維持コストを拠出する。これこそが、ネットワークとサービスが分離された時代の最も適切なコスト負担構造だろう。

土管に高級品は不要だ。安く構築できればそれで良い。ネットワーク(土管)の構築コストの大半はバックボーンネットワークとバックホールネットワークの構築にある。前者は都市間を結ぶ基幹網であり、後者はバックボーンネットワークから各無線基地局へ至るまでの支線網である。人体にたとえると、バックボーンネットワークは動脈、バックホールネットワークは毛細血管に当たるネットワークだ。これらのネットワークの敷設・維持コストを下げることが何より重要である。

バックボーンネットワークは、大きなトラフィックを扱う遠距離通信網である。WDMのような光ファイバ網の研究開発の進展は日進月歩だ。これに対してバックホールネットワークの進化は鈍い。バックホールネットワークは、まず面的なエリア拡充の要件を満たすように基地局の配置が行われ、その後、各基地局を結ぶネットワークとして整備される。アクセス回線のブロードバンド化が進行すると基地局の守備範囲は狭くなるから、たくさんの基地局を配置しなければならなくなる。バックホールの整備は非常に厄介なものとなる。私の研究は、このバックホールを無線化し基地局の敷設を容易にするためのシステムの開発に注がれている。

上述の新モバイルエコシステム実証のための大規模なパイロットシステムが、今日2010年2月1日、ついに稼働し始めた。場所は博多のキャナルシティ福岡。140台もの無線バックホール付き無線アクセスポイントを館内全域に設置、平均10ホップもの多段無線中継を実現した世界初のシステムだ。基地局は電源さえあれば容易に追加ができる。アクセス網にはWiFiを適用、ユーザは携帯電話とほとんど同じ使い勝手でWiFiインターフェースによるブロードバンド通信を行うことができる。

私は、大胆にもこのシステムを第4世代(4G)と定義することにした。キーワードは、超ブロードバンドでもなければ、ユビキタスでもない。オープンである。第4世代はオープンであること。だから、この仕組みをOpen4Gと名付けた。もう少し具体的にオープンとは何であるかを以下で説明したい。

・ネットワーク接続料無料
・WiFiインターフェースさえ備えていればあらゆる端末が利用可能
・面倒な加入手続き不要

自由に接続してもらい、その上で多様なアプリケーション群を開花させたい。次代を担う産業であるコテンツ市場の拡大を促進させる目的を持ったモバイル通信システムがOpen4Gである。

このネットワークを使って何か仕掛けてみたい方々、是非ご連絡ください。
  


Posted by furuhiro at 22:46Comments(0)モバイル通信